狩猟を始めたばかりの人にとって、「何が一番大切なのか?」という疑問はつきものです。
鉄砲?体力?それとも経験?
そんな疑問に、古くからのハンターたちはこう教えてくれます。
「一犬、二脚、三鉄砲」
これは、狩猟における重要度の順番を表した言葉です。文字通り、一番大事なのは“犬”、次が“脚”(体力・機動力)、最後に“鉄砲”(銃の技術)というわけです。
お犬様がトップ!犬なしでは始まらない狩猟
この言葉を最初に聞いたのは、私がまだ駆け出しのハンターだった頃。経験豊富な先輩から教わりました。
当時は「いくら名射手でも犬がいなきゃダメ」と言われ、半信半疑でしたが、実際に山に入って猟を重ねるうちに、その意味が身に染みてわかるようになりました。
鳥猟(鴨などの水鳥は除く)でも、大物猟(イノシシや鹿)でも、犬の存在があるかどうかで、猟の成立が根本的に変わってしまいます。
犬がいなければ、獲物に近づくことも、追い出すことも、発見することすら困難。つまり、猟が成立しないのです。
犬が猟を作り、体力(脚)がそれを支え、銃が成果を決定づける。これが狩猟の現場のリアルな実感です。
私が共に過ごした猟犬たち
私自身、長年にわたり鳥猟に取り組んできました。その中で多くの猟犬を育て、ともに山を駆け、別れを経験してきました。
飼ってきた主な犬種は以下の通りです:
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ポインター
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セッター
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ブリタニー
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柴犬(意外と思われるかもしれませんが、日本の猟にも適しています)
彼らはただの“道具”ではありません。山での相棒であり、家族であり、時には命を預ける存在です。
雪山で犬とはぐれてしまい、一週間後に自力で戻ってきた……そんなエピソードも二度ありました。
犬は、水さえあれば意外とタフで、過酷な状況でも生き延びる力があります。
猟犬も訓練次第 素質より実践がモノを言う
どんなに血統がよくても、どんなに素晴らしい素質を持っていても、実猟で鍛えられていなければ使い物になりません。
むしろ、訓練が不十分な犬は、山中で暴走したり、呼んでも戻ってこなかったりと、猟の妨げになってしまうことも。
では、猟犬の訓練で最も重要なことは何か?
私が特に重視しているのは、次の2点です。
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呼び戻し(コールバック)
→ どんな状況でも、命令一つで戻ってくる能力。 -
獲物の回収(レトリーブ)
→ 撃ち落とした獲物を見つけて、確実に持って帰ってくる能力。
これらは犬種に関わらず、訓練によって大きく向上します。
特に若い犬は覚えも早いので、地道に根気よく取り組むことが大切です。
これから猟犬を育てたい人へ
私がこれまで40年近く鳥猟犬を育ててきた経験から、今後は猟犬の訓練法や犬種ごとの特徴、実猟で役立ったノウハウをこのブログで少しずつ紹介していきたいと思います。
これから狩猟を始めようとする方、また猟犬との関係を深めたい方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
【まとめ】『一犬、二脚、三鉄砲』の教えは今も変わらない
どれだけ銃の腕が良くても、どれだけ道具が揃っていても、信頼できる犬と、山を歩き回れる体力がなければ、猟は成り立たない。
この言葉は、古くから伝わる単なる格言ではなく、実際の狩猟現場で生きるリアルな知恵です。
これから狩猟を始めようと考えている皆さんも、ぜひこの教えを心に刻んで、安全で楽しい猟の世界に踏み出してみてください。